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プジョー・リフター:SUV風デザインと広大な室内で楽しむフランス流MPV


プジョー・リフター ロング GT(日本仕様)諸元データ

  • 販売時期:2022年~(日本導入)

  • 全長×全幅×全高:4,760mm × 1,850mm × 1,875mm

  • ホイールベース:2,975mm

  • 車両重量:1,690kg

  • ボディタイプ:5ドアMPV(3列シート・7人乗り)

  • 駆動方式:FF(前輪駆動)

  • エンジン型式:DV5型(直列4気筒ディーゼルターボ)

  • 排気量:1,499cc

  • 最高出力:130ps(96kW)/3,750rpm

  • 最大トルク:30.6kgm(300Nm)/1,750rpm

  • トランスミッション:8速AT(EAT8)

  • サスペンション:前:マクファーソンストラット / 後:トーションビーム

  • ブレーキ:前:ベンチレーテッドディスク / 後:ディスク

  • タイヤサイズ:215/65R16

  • 最高速度:情報なし(欧州仕様は約184km/h前後)

  • 燃料タンク:50L

  • 燃費(WLTCモード):約17.0km/L

  • 価格:469万円(発売当初参考)

  • 特徴:

    • SUV風デザインを採用したアクティブなMPV

    • 広大なラゲッジスペースと多彩なシートアレンジ

    • 1.5Lディーゼルによる低燃費と力強い走り

 

プジョーといえば、しなやかな走りとフランスらしいデザインセンスで知られるブランドですが、その中でも少し異色の存在といえるのが「リフター」です。2018年に登場したこのモデルは、もともと商用バンをベースにしながらも、家族やアウトドア志向のユーザーに向けて磨き上げられたマルチパーパスビークルMPV)です。シトロエン・ベルランゴ、オペル・コンボと兄弟車の関係にありながら、フロントマスクや走りの味付けにはしっかりとプジョーらしい個性が込められています。その結果、実用性だけでなく「持つ楽しさ」や「使うワクワク感」を感じさせてくれる車になっています。

まず目を引くのは、そのSUV風のデザインです。商用車の素っ気なさを感じさせず、むしろアウトドアや街中で映えるような存在感を放っています。少し背が高く、スクエアなフォルムは車内空間を広く取るためのものですが、それが逆にどこか頼もしさを感じさせてくれるのです。ルーフレールや樹脂製のフェンダーアーチなども備え、キャンプ道具を積んで山へ向かう姿が似合う、そんなイメージが自然と湧いてきます。

そして、この車の大きな魅力は広大な室内空間と多彩なシートアレンジです。二列シート仕様から三列シート仕様まで用意され、7人乗りにも対応する柔軟性を持っています。特にラゲッジスペースの広さは圧巻で、普段の買い物はもちろん、大型の自転車やキャンプ用品まで積み込めてしまう頼もしさがあります。まさに「日常から冒険までを一台でこなす相棒」という言葉がぴったりです。

さらに、パワートレインのバリエーションもユニークです。ヨーロッパ市場では1.2リッターのガソリンターボから1.5リッターのディーゼル、そして完全電動の「e-Rifter」まで用意され、用途や価値観に合わせて選ぶことができました。日本では1.5リッターディーゼルが中心ですが、燃費性能と低回転からの力強いトルクは日常の街乗りから長距離ドライブまで安心して使えます。加えて、EVモデルがラインナップされている点は、この車の未来志向を象徴しているとも言えるでしょう。

ユニークなのは、兄弟車との関係です。シトロエン・ベルランゴは遊び心を前面に押し出し、オペル・コンボは実用性を重視した仕上がりですが、リフターはその中間に位置しつつ、よりスタイリッシュにまとめられています。プジョー独自のフロントグリルやライオンマーク、そして小径ステアリングを用いた「i-Cockpit」デザインは、兄弟車にはないポイントです。こうした違いが、同じプラットフォームを使っていても「リフターを選ぶ理由」につながっています。

プジョー・リフターは、家族の送迎や日常の買い物といった日常シーンをしっかりカバーしながら、休日にはアウトドアや旅行の強い味方にもなれる万能選手です。便利なだけでなく、デザインや走りにもフランス車らしい遊び心が感じられるため、ただの「実用車」で終わらない魅力があるのです。フランス流のエスプリが効いたこのMPVが、日本のライフスタイルにどのようにフィットするのか、これから順を追って見ていきましょう。

 

SUV風デザインとMPVとしての実用性の両立

プジョー・リフターを初めて目にしたとき、多くの人が「これはSUVなのか、それともミニバンなのか」と戸惑うかもしれません。それもそのはずで、この車はもともと商用バンをベースにしながらも、外観にはSUV的なテイストを盛り込み、結果的にどちらの魅力も併せ持つ存在となっているからです。背が高くスクエアなフォルムは、一見するとバンのような実用的な形状ですが、フロントマスクには最新のプジョーらしいシャープなライオンフェイスが与えられ、アクティブで都会的な雰囲気を放っています。単なる荷物運びの車ではなく、「ライフスタイルを豊かにする相棒」として設計されていることが、ひと目で伝わってきます。

このSUV風デザインの特徴として挙げられるのが、樹脂製のフェンダーアーチやルーフレール、そして高めに設定された最低地上高です。例えば週末にキャンプへ出かけるとき、河原や林道に乗り入れても底を擦りにくく、見た目だけでなく実用面でも役立つ工夫がされています。さらに、ルーフレールはカーゴボックスや自転車キャリアを取り付けるのに便利で、アウトドアユーザーにとって心強い装備です。デザインがカッコいいだけでなく、実際の使い勝手に直結している点が、この車のユニークさでもあります。日本でいえば、軽バンをベースにした「アクティブ仕様」が人気を集めるのと似ていますが、リフターはそれをフランス流のおしゃれさで表現しているのです。

しかしリフターの魅力は、外観だけで語り尽くせるものではありません。室内空間の広さとアレンジの自由度も大きなポイントです。スクエアなボディ形状は天井が高く、乗り込んだ瞬間に開放感を感じます。二列シート仕様ではラゲッジスペースがとても広く、日常の買い物なら余裕でこなし、さらに自転車やキャンプ用品を無理なく積み込むことができます。三列シート仕様を選べば、7人乗りのファミリーカーとしても使え、まさに「日常から休日の冒険まで一台でこなせる」存在です。たとえば、平日は子どもの送り迎えや買い物に使い、週末には友人や家族を連れてキャンプへ行く、そんな生活スタイルを自然に支えてくれるのです。

加えて、細かい収納スペースの豊富さも見逃せません。フランス車らしく、助手席の前やルーフ近く、ドアポケットなどに数多くの収納が用意され、ドリンクや小物を整理しやすくなっています。日本のミニバンと比べても遜色ない便利さで、日常の細やかな使い勝手に配慮されていることがわかります。こうした点は、商用車由来の設計が活きている部分でもあり、実用性の高さを実感できるところです。

リフターは「SUV風デザイン」と「実用的なMPV」という、通常は別々のカテゴリーに属する要素を見事に融合させています。街で映える存在感を持ちながら、同時にアウトドアや多人数乗車といったシーンにも柔軟に対応できる。それはつまり、単なる移動手段にとどまらず、生活や趣味を広げるきっかけをくれるクルマであることを意味しています。実用性とデザイン性を同時に求める人にとって、このバランスは非常に魅力的で、リフターがフランスだけでなく日本でも注目を集める理由のひとつと言えるでしょう。

 

多彩なパワートレインと電動モデル「e-Rifter」

プジョー・リフターの魅力を語る上で欠かせないのが、幅広いパワートレインの選択肢です。ヨーロッパでは発売当初から、ガソリン・ディーゼル・そしてEVという三本柱が用意され、ユーザーの用途やライフスタイルに合わせて選べるようになっていました。商用車ベースのMPVというと、効率性重視でディーゼル一択になりがちですが、リフターはそれにとどまらず、より幅広い層を取り込もうという姿勢が感じられます。たとえば、街乗り中心で年間走行距離が少ない人には1.2リッターのガソリンターボ、長距離移動が多いユーザーには1.5リッターディーゼル、そして環境意識が高い人や都市部の規制に対応する必要がある人にはEVの「e-Rifter」という具合です。

日本に導入されているのはディーゼル仕様のみですが、このエンジンの実力は侮れません。1.5リッターのBlueHDiディーゼルターボは、最高出力130馬力、最大トルク300Nmを発揮します。数字だけ見ると控えめに感じるかもしれませんが、低回転から力強いトルクを生み出すディーゼルならではの特性により、街中での発進や坂道でも余裕をもって走ることができます。しかも燃費は17km/L前後と優秀で、日常使いの経済性も確保されています。ユーザーの中には「大型ミニバンの2.5リッターガソリン車よりもよほど軽快で燃費も良い」と評する人もいるほどです。

そしてリフターのパワートレイン戦略で特に注目すべきは、完全電動モデルの「e-Rifter」です。2021年に追加されたこのモデルは、プジョーが進める電動化戦略の一環であり、商用ベースのMPVでEVが登場したことは非常に象徴的でした。e-Rifterは50kWhのバッテリーを搭載し、航続距離はおおよそ280km(WLTP基準)を実現しています。街乗りや近郊へのドライブが中心であれば十分に実用的で、充電インフラが整いつつあるヨーロッパでは着実に支持を集めています。特に自治体や法人のフリート需要において、排ガス規制の厳しい都市部で活躍しているのが印象的です。

EVならではの静粛性も、リフターのキャラクターにぴったりです。もともと広い車内空間を持つ車はロードノイズやエンジン音が響きやすいものですが、電動化されたe-Rifterは低速域から滑らかで静かに走ることができ、移動そのものが快適になります。さらに、トルクが瞬時に立ち上がるため、大人数や荷物を積んでいてもストレスなく走れるのです。これは「人も荷物も余裕をもって運ぶ」というMPVの基本的な役割に対して、非常に相性が良いといえます。

このように、リフターはただの実用車にとどまらず、多彩なパワートレインによって時代の変化やユーザーの多様なニーズに応えていることが大きな特徴です。日本ではまだe-Rifterの導入は実現していませんが、もし今後EVインフラが整備され、輸入が進めば、新しいファミリーカーや商用車の選択肢として大きな注目を集めることは間違いないでしょう。リフターのパワートレイン展開は、単なる選択肢の多さではなく、時代の要請に応える柔軟性を示しているのです。

 

兄弟車との違いとプジョーらしさ

プジョー・リフターを語るときに欠かせないのが、兄弟車との関係です。リフターは、シトロエン・ベルランゴ、そしてオペル・コンボと共通のプラットフォームを持つ「三つ子車」の一つとして開発されました。もともとPSAグループ(現ステランティス)の戦略として、商用車と乗用車を効率よく展開するために共同開発されたモデル群であり、基本骨格やエンジン、サスペンションなどの多くを共有しています。つまり、素の性能や実用性の部分では大きな差はないのですが、各ブランドが独自のキャラクターを与えることで、異なる顧客層にアピールしているのです。

まず、シトロエン・ベルランゴは「遊び心」を前面に出したモデルです。丸みを帯びたデザインやポップなカラーリング、独特のインテリアの質感などは、家族やアウトドア好きのユーザーに強く訴えかけます。ベルランゴは「ちょっとユニークで、個性を楽しみたい人」に向けた提案であり、同じ車でもキャラクターの打ち出し方で印象が大きく変わります。

一方、オペル・コンボは「実用性と質実剛健さ」を重視しています。ドイツブランドらしい無骨な仕上がりで、装飾を抑え、よりシンプルかつ堅実にまとめられています。法人やビジネスユーザーに受け入れられやすい雰囲気で、同じベースを使いながらも「仕事道具」としての色が濃いのが特徴です。

それに対してプジョー・リフターは、三兄弟の中で最もスタイリッシュで都会的に仕上げられています。フロントマスクはシャープなLEDヘッドライトと大きなグリルを備え、プジョーのライオンエンブレムが堂々と鎮座しています。この顔つきは、同じ骨格を持つ兄弟車と並べてみると一目瞭然で、「ただの実用車」から「持つ喜びを感じさせるライフスタイルカー」へと昇華させていることが伝わります。さらに、内装にも小径ステアリングを中心とした「i-Cockpit」デザインが導入され、運転席周りの雰囲気はプジョーらしいスポーティさを感じさせます。この点は、ベルランゴやコンボにはない大きな差別化ポイントです。

また、走りの味付けにも違いがあります。プジョーはもともと「猫足」と呼ばれるしなやかな乗り心地に定評があり、リフターにもそのエッセンスが込められています。商用車ベースとは思えないほど、段差を越えたときの衝撃が角の取れたまろやかな感覚で、長距離ドライブでも疲れにくいのです。ベルランゴがやや柔らかめ、コンボがやや硬めに感じられるのに対し、リフターはその中間に位置しつつも、ステアリングの反応やハンドリングが一段と洗練されている印象です。こうした違いは数値では表しにくい部分ですが、実際に試乗すると「なるほど、これはプジョーらしい」と納得できる仕上がりになっています。

このように、リフターは兄弟車と多くの共通点を持ちながらも、プジョーブランドの哲学やデザイン言語を反映することで独自の存在感を放っているのです。ベルランゴほど遊び心を前面に出さず、コンボほど実務的でもない。そのバランスが、ファミリー層から趣味を楽しむ大人まで幅広く支持される理由といえるでしょう。車を選ぶときに「どうせなら、ちょっとカッコよくて走る楽しさも味わいたい」と考える人にとって、リフターはまさにピッタリの一台なのです。

 

まとめ

プジョー・リフターは、単なる実用的なMPVにとどまらず、SUV的なデザインやフランス車ならではの個性をしっかりと持ち合わせた一台です。外観は樹脂フェンダーやルーフレールといったアウトドアを意識した装備で、街でも自然の中でも映えるスタイリングを実現しています。そのうえで、スクエアなボディがもたらす広い室内空間や豊富な収納、7人乗りにも対応できる柔軟性があり、日常生活から休日のアクティビティまで幅広く対応できる懐の深さがあります。

また、パワートレインの多様性もこの車を特別な存在にしています。日本で販売される1.5リッターディーゼルは燃費とトルクのバランスに優れ、家族や荷物を乗せた状態でも余裕を持った走りが可能です。そしてヨーロッパでは「e-Rifter」というEV仕様が用意され、時代の変化に応える電動化戦略の一端を担っています。商用車由来のMPVがEV化されることは非常に象徴的で、今後の自動車市場の方向性を感じさせる部分でもあります。

さらに、兄弟車との違いもリフターを語るうえで欠かせません。シトロエン・ベルランゴが遊び心、オペル・コンボが実直さを前面に出すのに対して、リフターは都会的でスタイリッシュな雰囲気を纏い、運転席周りにはプジョー独自の「i-Cockpit」を採用しています。走りにおいても、猫足と称されるしなやかな乗り味が健在で、長距離ドライブでも快適さを実感できるのです。

こうして見ていくと、リフターは「荷物を運ぶための車」という単純な役割を超え、ユーザーのライフスタイルを豊かに広げるための存在であることがわかります。アウトドアや旅行を楽しむ人にとっては頼もしい相棒となり、日常生活では家族をしっかりと支える万能選手でもあります。デザイン、実用性、走り、そして電動化への対応。これらを一台にまとめたリフターは、フランス車のユニークな魅力を凝縮したモデルといえるでしょう。