
Neta Aya 諸元データ
・販売時期:2020年〜(2023年マイナーチェンジで「Aya」に改称)
・全長×全幅×全高:4,070mm × 1,690mm × 1,540mm
・ホイールベース:2,420mm
・車両重量:約1,150kg
・ボディタイプ:5ドアコンパクトSUV
・駆動方式:前輪駆動(FF)
・モーター出力:54ps(40kW)/不明
・最大トルク:175Nm/不明
・バッテリー容量:約38.5kWh(航続距離350〜400km)
・トランスミッション:シングルスピード減速機
・サスペンション:前:マクファーソン / 後:トーションビーム
・ブレーキ:前:ディスク / 後:ドラム
・タイヤサイズ:185/55 R16
・最高速度:約100〜120km/h
・燃料タンク:なし(BEV)
・価格:中国:約75,000元〜(約150万円〜)、タイ:約200万円台〜
・特徴:
1. 手頃な価格で航続距離350〜400kmを実現
2. 10インチ級の大型タッチパネル搭載
3. L2運転支援(ACCやリモート駐車)対応
ここ数年、中国の自動車メーカーが放つ電気自動車(BEV)は、安価ながらも見逃せない存在感を放っています。その中でも注目すべき1台が、NETA(哪吒汽車)が手がける「Neta Aya(ネタ・アヤ)」です。元は2020年に「Neta V」として登場し、2023年にマイナーチェンジとともにAyaへと改名。都市向けのEVとして、価格と実用性のバランスが光る1台に仕上がっています。
見た目は柔らかい曲線で構成されたコンパクトSUVスタイル。どこか親しみやすく、最新EVというよりは日常になじむ実用車といった雰囲気です。街中を走っていても目立ちすぎず、それでいて新しさも感じさせる絶妙なデザイン。カジュアルな服装にもぴったり似合うような、そんな立ち位置のクルマです。
Neta Ayaが支持される理由のひとつは、EVとしてのハードルを下げてくれたこと。高価で未来的すぎる印象を持たれがちなEVの世界に、価格をぐっと抑えつつも航続距離や装備面で妥協しない姿勢が伝わってきます。お財布にやさしく、それでいて日常使いに不足ないスペックは、多くの人にとって「ちょうどいいEV」として魅力的です。
日本ではまだ聞き慣れないブランドかもしれませんが、タイやマレーシアといった東南アジアでは着実にシェアを拡大中。近い将来、こうした中国発の手頃なEVが、日本のカーライフにも影響を与える存在になるかもしれません。Ayaは、そんな“時代の入り口”に立つようなクルマです。
装備と運転支援が光るコンパクトSUV
まず驚かされるのが、インテリアの完成度です。中央にはタブレットのような大型のインフォテインメント画面が鎮座し、エアコンの操作から車両設定、音楽までタッチ操作で完結。しかも、音声アシスタントに対応しており、話しかければ「はい、ご主人様」と応えてくれる(?)のが、ちょっとした遊び心です。
このクラスのEVでL2レベルの運転支援機能が付いているのもポイント。アダプティブクルーズコントロールや車線維持支援、さらにはスマホで遠隔操作できるリモートパーキング機能まで備えています。これには思わず「本当にこの価格帯で?」と疑ってしまうほど。
ナビの案内も分かりやすく、走行中のエネルギー消費や航続距離の表示も直感的で親切です。運転初心者やEV未経験者でも安心して扱える操作系が整っているため、乗る人を選ばないというのも大きな魅力です。見た目はおとなしめですが、中身は意外と頼れるやつなのです。
また、シートの質感や後席の足元スペースも工夫されていて、短距離の移動なら4人乗車でもストレスは少なめ。都市型カーとしてだけでなく、日常の足としてしっかり使い込める懐の深さを備えています。こうした「ちょっといい」が積み重なって、Ayaの魅力はより大きくなっています。

価格と航続距離のバランス感覚
Neta Ayaの魅力は、装備だけではありません。その最たる武器は、やはり「コストパフォーマンス」にあります。EVというと、初期費用が高くて二の足を踏んでしまう人も多いはず。でもAyaは、200万円前後という価格設定で、それなりの距離をしっかり走ってくれます。
公式の航続距離は350〜400km。もちろん実際の環境ではもう少し短くなるかもしれませんが、それでも都市部での通勤や買い物、週末の近郊ドライブにはまったく不自由しません。むしろ、無駄に大きな電池を積んでいないぶん、車両重量が軽く、動きもキビキビしている印象です。
この“必要十分”を追求する設計思想こそ、Ayaの価値そのもの。航続距離や装備を欲張りすぎず、けれども「これだけは外せない」部分をしっかり押さえているのが好印象です。バッテリー冷却機能や急速充電非対応といった割り切りもありますが、それもコストとのトレードオフと考えれば納得できます。
しかも、税制優遇や補助金制度を活用すれば、さらに購入ハードルは下がります。初めてEVに乗る人にとって、Ayaのような“ちょうどよさ”は非常に心強い選択肢になるはずです。大きすぎず、重すぎず、そして高すぎない。AyaはEVの入門機として、非常に優秀なポジションにいます。

魅力と課題が同居するグローバルEV
とはいえ、Neta Ayaには見過ごせない課題も存在します。最も深刻なのは、安全性能に関する評価です。ASEAN NCAPが実施した衝突試験では、残念ながら「星ゼロ」という厳しい結果となりました。Aピラーの変形やステアリングの侵入など、衝突時の乗員保護性能に不安が残る内容でした。
「この価格帯だから仕方ない」と片付けるには、少々リスクが大きすぎるようにも感じます。特に家族で使うことを考えるなら、万が一の備えは重要。購入を検討する際には、この点をしっかり認識しておく必要があります。改善が進めば、さらに魅力が増すのは間違いありません。
加えて、親会社であるHozon Autoの販売手法にも疑問が残ります。保険加入を活用して出荷台数を実態以上に見せる“仮想販売”が指摘されており、ブランドの信頼性という面では課題を抱えています。どんなに良い製品でも、背景にある企業の姿勢はユーザーにとって重要な評価基準です。
それでも、Ayaが多くの都市ユーザーに受け入れられている事実は揺るぎません。価格・装備・航続距離という「三種の実用性」を武器に、着実に実績を積み重ねているのです。あとは、安全性と企業の透明性がもう一歩伴えば、Ayaは本当の意味で“世界的な入門EV”になれるはずです。

まとめ
Neta Ayaは、EVの世界に踏み出すための“ちょうどいい一台”です。おしゃれすぎず、チープすぎず。未来を感じさせながらも、足元はしっかりと現実を見据えています。EVという言葉がまだ特別に感じる人にも、Ayaはその壁を静かに取り払ってくれる存在です。
もちろん、完璧なクルマではありません。安全性の課題や企業としての信頼性の問題は、これからの改善に期待するところです。でも、だからこそ「成長するクルマ」として見守りたくなる、そんな不思議な魅力があるのも事実です。
今後、より多くの人がEVという選択肢を考えるようになったとき、Ayaのようなリーズナブルで実用的なモデルがきっと再評価されるはずです。日本の街角にも、こうしたクルマが自然に停まっている日が来るかもしれません。
Ayaという名前には、「彩り」という響きがあります。都市の暮らしに、EVという新しい彩りをもたらす存在として、Ayaは確かに今を象徴する一台なのです。