ワールド・カー・ジャーニー

車種、年代、国を超えて。世界中の魅力的なクルマたちが集結。

ホンダ・トゥディ(2代目):まあるい軽で毎日がちょっと楽しくなる相棒

ホンダ・トゥディ(2代目)諸元データ

・販売時期:1993年1月〜1998年9月
・全長×全幅×全高:3295mm × 1395mm × 1350mm
ホイールベース:2330mm
・車両重量:650kg(グレードにより異なる)
・ボディタイプ:3ドア/5ドア ハッチバック
・駆動方式:FF(前輪駆動)
・エンジン型式:E07A型
・排気量:656cc
・最高出力:48ps(35kW)/6300rpm
・最大トルク:5.8kgm(57Nm)/5500rpm
トランスミッション:5速MT / 3速AT / 4速AT
・サスペンション:前:マクファーソン式 / 後:3リンク・リジッド式
・ブレーキ:前:ディスク / 後:ドラム
・タイヤサイズ:135/80R12
・最高速度:およそ130km/h
・燃料タンク:30L
・燃費(10・15モード):約23.0〜25.0km/L
・価格:約69万円〜92万円(発売当初の税込)
・特徴:
 - 卵型の親しみやすいデザイン
 - センタータンクレイアウトによる広い室内
 - ホンダらしい軽快な走り

 

1990年代前半、日本の軽自動車市場はまさに百花繚乱の時代でした。各社がこぞって新しい価値観を提案する中で、1993年にホンダが送り出したのが2代目トゥディです。先代の直線的なボディから一転、丸みを帯びた優しいフォルムに変身。見た目の変化だけでなく、構造から使い勝手までが大きく見直され、まさに“生活のパートナー”として生まれ変わりました。

とくに注目されたのが、ホンダ独自のセンタータンクレイアウト。この設計のおかげで、全長3.3m弱という限られたサイズながら、室内空間は驚くほどゆったりしています。また、視界も広く、ボディ感覚がつかみやすいため、運転に不安があるビギナーにもやさしい設計でした。かわいらしさと実用性を高次元で両立した軽自動車として、多くのユーザーに愛された存在です。

当時のテレビCMでも「トゥディでおでかけ」というフレーズが印象的に使われ、買い物や通勤の相棒として親しみを集めました。ライバルがスペック競争や価格勝負に走る中、ホンダ・トゥディはあくまで“生活に溶け込む軽”という個性で勝負していたのです。

 

丸くてキュートなボディに詰め込んだ街乗り性能

2代目トゥディを見てまず目を引くのは、そのころんとした丸いボディラインです。まるで卵をひとまわり大きくしたようなフォルムは、当時の角ばった軽自動車とは一線を画す存在でした。特に女性層やシニアユーザーから「親しみやすい」と好評を博し、街に馴染む可愛らしさが魅力の一つとなっていました。

しかし、その柔らかい見た目とは裏腹に、ボディの基本構造はしっかりとしたモノコックで、軽量ながらも剛性を確保。全高を抑えたことにより、走行時の安定性にも優れていました。また、視界の広さやコンパクトなサイズのおかげで、細い道や駐車場でも取り回しがしやすく、街乗りにはぴったりの一台でした。

ホンダらしい工夫が随所に見られたのが室内設計です。前述のセンタータンクレイアウトにより、リアシートの足元空間は想像以上の広さが確保され、同時期の軽の中でもトップクラスの居住性を実現していました。かわいくて、乗っても快適。そんな“いい意味で裏切られる”作り込みが、2代目トゥディの魅力でした。

 

i-DSIの先駆け?3気筒エンジンとミッドシップ風FFの軽快な走り

2代目トゥディは、「可愛いだけの軽」ではありませんでした。その走りには、しっかりとホンダらしさが宿っていたのです。搭載されたE07A型エンジンは、ホンダの誇る3気筒SOHCで、当時の軽規格いっぱいの656cc。最高出力48馬力と控えめながら、5速MTを組み合わせれば、街乗りはキビキビと軽快でした。

さらに面白いのが、その重量バランスです。燃料タンクがセンターに配置され、軽量なボディと相まって、FF車ながらミッドシップのようなハンドリング特性を持っていたと言われるほど。実際、交差点での曲がりやすさや、軽快なフットワークは所有者の中でも評判でした。

足回りには、フロントにマクファーソンストラット、リアに3リンクリジッドサスという組み合わせを採用。スポーティさというよりは、快適さと安定性を狙った構成ですが、十分に“走りも楽しめる軽”でした。ホンダが軽にも妥協しなかったことを感じさせてくれるポイントですね。

CMで印象づけた“今日もトゥディでお出かけ” ― カルチャー面での存在感

当時のトゥディの人気を支えたのは、機能性や走りだけではありませんでした。やさしく語りかけるようなテレビCMや、ちょっとした日常の中に寄り添う存在として描かれる広告展開は、今見てもどこか心に残るものがあります。「トゥディで、おでかけ。」というフレーズは、シンプルながら多くの人の記憶に残った名コピーの一つです。

このアプローチは、同じホンダでもシビックやアコードのように“男らしさ”や“技術力”を前面に出したものとは違い、あくまで生活に寄り添う“やさしい存在”としてトゥディを描いていたのが印象的でした。しかもそのイメージ戦略が、当時伸びつつあった女性ドライバー層の支持を得ることに成功していたのです。

また、ファッション誌や女性誌などでもよく取り上げられ、単なる足としてではなく、“ちょっとおしゃれなライフスタイルの一部”としてトゥディを選ぶ人も多かったと言われています。お出かけを少しだけ楽しくしてくれる、そんな存在感が2代目トゥディにはありました。

 

まとめ

2代目ホンダ・トゥディは、「軽自動車=安くて小さい道具」と見られていた時代に、“可愛くて実用的で、ちょっと楽しい相棒”という新たなイメージをもたらした一台でした。日常の中に自然に溶け込みながらも、使い勝手や走りの質でしっかりとホンダらしさを感じさせる設計。加えて、CMや雑誌を通じて築かれた“暮らしの中の相棒”というブランドイメージは、軽自動車が単なる乗り物から「選ぶ楽しさのあるプロダクト」へと進化するきっかけにもなったかもしれません。

今となっては街で見かけることも少なくなりましたが、その丸いフォルムを見かけると、どこか懐かしい気持ちになります。あの時代にぴったりの、小さな名車。それが2代目トゥディだったのです。