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フォルクスワーゲン・ゴルフ:全部入りハッチバック、7代目の完成度がすごい!

フォルクスワーゲン・ゴルフ TSI Highline(7代目・日本仕様)諸元データ

・販売時期:2013年〜2019年
・全長×全幅×全高:4,265mm × 1,800mm × 1,480mm
ホイールベース:2,635mm
・車両重量:1,280kg
・ボディタイプ:5ドアハッチバック
・駆動方式:前輪駆動(FF)
・エンジン型式:CPT(直列4気筒DOHCターボ)
・排気量:1,395cc
・最高出力:140ps(103kW)/4,500〜6,000rpm
・最大トルク:25.5kgm(250Nm)/1,500〜3,500rpm
トランスミッション:7速DSG(デュアルクラッチ式自動)
・サスペンション:前:ストラット / 後:4リンク
・ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
・タイヤサイズ:225/45R17
・最高速度:212km/h(欧州仕様値)
・燃料タンク:50L
・燃費(JC08モード):約21.0km/L
・価格:2,999,000円(2013年当時のHighline)
・特徴:
 - MQB採用による軽量化と広い室内空間
 - DSGトランスミッションによる滑らかな加速
 - 高い内装品質と安全装備の充実

 

輸入車の中でも、長年にわたり日本で愛され続けている一台――それがフォルクスワーゲン・ゴルフです。中でも2012年に登場した7代目は、単なる世代交代を超えた「フルモデルチェンジの真髄」を感じさせる内容となっていました。目に見えるデザインだけでなく、クルマの骨格となるプラットフォームに至るまで刷新され、時代の変化に合わせてグッと近代化された一台だったのです。

7代目は、フォルクスワーゲングループが総力を挙げて開発した新世代のプラットフォーム「MQB」を初採用したモデル。これにより、サイズアップしながら軽量化され、走りやすさと燃費の良さがぐっと進化しました。さらに日本では、コンパクトなのに高品質、という“ちょっといい車”としての立ち位置を確立。街でもよく見かけるようになりましたよね。

そして何より、7代目ゴルフの魅力はその“万能さ”。快適な日常使いから、スポーティなドライビング、そしてエコや電動化まで、ユーザーのあらゆるニーズに応えるバリエーションをそろえていたのです。今回はそんな7代目ゴルフの魅力を、3つの視点からたっぷりとご紹介します!

 

MQBで生まれ変わった名車:軽くて広くて走りも◎

7代目ゴルフの最大の進化ポイントといえば、やはり「MQBプラットフォーム」の初採用でしょう。MQBとは、フォルクスワーゲングループが開発した新世代の車体構造で、ゴルフだけでなくアウディA3やセアト・レオンなどにも使われた共通アーキテクチャのこと。このプラットフォームの導入により、ゴルフは設計段階から一新され、軽量化・安全性・生産効率の全てを高次元で両立することができたのです。

まず注目すべきは、車体の軽さ。先代(6代目)と比較すると最大で100kg以上軽くなっており、それでいてボディサイズは全長・全幅ともにわずかに拡大。つまり、**「広くなったのに軽くなった」**という理想的なアップデートが施されたわけです。実際に走らせてみると、その軽さはアクセルを踏んだ瞬間に感じられます。加速のスムーズさはもちろん、コーナリングでも車体がよく動き、クルマとの一体感が強まった印象を受けます。

さらに、MQBは車体の重心設計にも大きな自由度を与えました。エンジンやドライバーの位置を最適化することで、前後バランスが向上し、安定感のある走りに直結しています。これは特に高速道路や長距離ドライブで威力を発揮し、運転者だけでなく同乗者にも「この車、なんか楽だね」と思わせてくれるほど。

実際、7代目ゴルフの走りの良さは欧州カー・オブ・ザ・イヤーをはじめ、数々の賞を受賞したことでも裏付けられています。つまりMQBの採用は、ただの設計変更ではなく、「ゴルフがゴルフであることの再定義」だったとも言えるのです。

 

これぞドイツ車の真骨頂?内装クオリティと走りのバランス

7代目ゴルフに試乗して、まず驚くのが**「この価格で、ここまで質感高くていいの?」**という内装の完成度。輸入車=高級車というイメージを持つ人にとって、ゴルフはその敷居をぐっと下げてくれる存在です。インパネやスイッチ類の触感、シートの作り込み、さらにはドアの開閉音に至るまで、きちんと「ドイツ車の矜持」が息づいているのが伝わってきます。

しかも、上質さだけでなく使い勝手にも配慮が行き届いているのがゴルフらしいところ。収納スペースの位置やドリンクホルダーの深さ、視認性の高いメーター配置など、日常使いを想定した設計の丁寧さは“実用のプロ”とでも言いたくなるほど。初めて輸入車に乗るユーザーにも優しく、「これなら毎日でも乗りたくなる」と思わせてくれるのが7代目の魅力です。

そしてもう一つ忘れてはいけないのが、走りとの絶妙なバランス。先進安全装備が充実しているのはもちろん、ステアリングの手応えやアクセル・ブレーキの操作感も「ちょうどいい」の一言に尽きます。とびきり刺激的というわけではないけれど、運転していて疲れにくく、自然とペースがつかめる――これこそが**“本物のクルマ作り”の証**だと思わせてくれます。

特に日本では、都心の狭い道から高速道路まで、さまざまなシーンに対応できる車が求められますが、7代目ゴルフはそのすべてに応えるオールラウンダー。小型ながらも走行性能はしっかり、乗り心地もよく、さらに先進装備も抜かりなし。「ちょうどいい」の積み重ねが、気づけば“長く乗れる車”を作っていた――それがこの世代のゴルフだったのです。

 

GTIからR、電動まで。ゴルフの“全部入り”時代

7代目ゴルフの真骨頂は、ラインナップの多彩さにもあります。「これでもか!」というほど広がったグレード展開は、まさに“全部入り”。ユーザーが求める性能やライフスタイルにぴったり寄り添う一台が、ゴルフという名の下にずらりと揃ったのです。

まずはゴルフGTI。この名前を聞いて胸が高鳴る人も多いはず。7代目では220psの2.0Lターボを搭載し、ダイナミックな走りと日常性を両立。さらに限定車「クラブスポーツ」や、パワーアップされた「GTIパフォーマンス」など、スポーツハッチ好きのハートをがっちり掴みにきました。続くゴルフRは、さらに一段上の295ps(最終型)+4WDというパワフル仕様。控えめな見た目からは想像できない加速力を秘め、羊の皮をかぶった狼として人気を集めました。

一方で、電動化にも積極的に取り組んだのがこの世代。PHEVのゴルフGTEはGTI風のデザインと204psのシステム出力を両立し、「スポーツ&エコ」という新しい価値観を提示。さらにe-Golfは完全電動モデルとして、静かで滑らかな走行感を提供しました。今では当たり前になった“電動ゴルフ”の元祖が、実はこの7代目だったというのは驚きかもしれません。

このように、走りを楽しみたい人にも、環境に配慮したい人にも、実用性を重視する人にも対応できるのが7代目の強みでした。1台のクルマにこれほど多彩な個性を詰め込んだ例はそうそうありません。だからこそ、多くのドライバーにとって「理想の1台」が見つかる。それが、7代目ゴルフが“全部入りのゴルフ”と呼ばれる理由なのです。

 

まとめ

7代目フォルクスワーゲン・ゴルフは、名車としての伝統を守りながらも、大きな進化を遂げたモデルでした。新たに採用されたMQBプラットフォームによって、走行性能や燃費、室内空間のすべてをバランスよく高めたその姿勢は、「使いやすさと楽しさのちょうどいい関係」を見事に体現しています。

また、内装のクオリティの高さや、輸入車ビギナーにも扱いやすいドライブフィールは、まさに“これぞドイツ車”と呼ぶにふさわしい完成度。日常的な移動を気持ちよく、そしてちょっと贅沢にしてくれる存在でした。

そして忘れてはならないのが、GTI、R、GTE、e-Golfといった多彩なバリエーション。これだけ個性の違うモデルが同じ車名で展開されるというのは、他に例を見ないユニークな試みです。つまり7代目ゴルフとは、「すべての人にフィットする万能型ハッチバックとして、フォルクスワーゲンが送り出した“集大成”だったと言っても過言ではないでしょう。