ワールド・カー・ジャーニー

世界中のクルマに出会える旅へ

プジョー・RCZ:美しきダブルバブル、そして本気のスポーツクーペへ

プジョーRCZ(1.6 THP 6MT)諸元データ

・販売時期:2010年~2016年
・全長×全幅×全高:4290mm × 1845mm × 1360mm
ホイールベース:2610mm
・車両重量:1370kg
・ボディタイプ:2ドアクーペ
・駆動方式:FF(前輪駆動)
・エンジン型式:5FY(EP6CDT)
・排気量:1598cc
・最高出力:156ps(115kW)/ 6000rpm
・最大トルク:24.5kgm(240Nm)/ 1400-4000rpm
トランスミッション:6速マニュアル
・サスペンション:前:マクファーソンストラット / 後:トーションビーム
・ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
・タイヤサイズ:前後235/45R18
・最高速度:約215km/h
・燃料タンク:55L
・燃費(JC08モード):約12.0km/L
・価格:399万円(2010年発売時)

・特徴:
 - ダブルバブルルーフと曲線美が特徴のスタイリング
 - 高トルク型の1.6Lターボエンジン
 - 独立設計による専用プラットフォーム採用

 

プジョーといえば、エレガントなハッチバックやコンパクトSUVを思い浮かべる人が多いかもしれません。けれど、そんなブランドが本気で作ったスポーツクーペがあったことを、あなたはご存知でしょうか?それが、今回ご紹介するプジョーRCZです。

2010年に登場したRCZは、コンセプトカーそのままのスタイリングで多くの人を驚かせました。とりわけ、後ろから見た時の独特な「ダブルバブルルーフ」とふくよかなリアフェンダーは、今見てもため息が出るほどの美しさを誇ります。プジョーがただの「実用車メーカー」ではないことを、強く世に知らしめた存在でした。

もちろんRCZの魅力は見た目だけではありません。専用チューンされた足回り、トルクたっぷりの1.6Lターボエンジン、そしてなによりドライバーの心をくすぐる軽快なハンドリング。普段使いもできる快適性を持ちながら、しっかりスポーツできるバランスの良さもRCZの大きな武器でした。

さらに後期モデルでは、「RCZ R」という驚異的なハイパフォーマンス版も登場。プジョー史上最強クラスのFFスポーツカーとして、今なお熱狂的なファンを生んでいます。

今回は、そんなプジョーRCZの魅力を、デザイン、走り、そして特別なRCZ Rという3つの角度から深堀りしていきましょう!

 

ダブルバブルルーフ誕生秘話とRCZの美しさ

プジョーRCZが登場したとき、世界中のクルマ好きがまず目を奪われたのは、間違いなくその流れるようなフォルムでした。中でもひときわ目を引くのが、ルーフ中央が二つ盛り上がった**「ダブルバブルルーフ」**です。この特徴的な形状は、ただのデザイン上の遊びではありませんでした。

そのルーツは、1950年代のイタリアンコーチビルダー「ザガート」の手がけたレーシングカーにあります。当時、空力性能を高めながら、ドライバー用のヘルメットスペースを確保するために生み出された形状。それを現代風に解釈し、RCZのためにアレンジしたのが、プジョーのデザインチームでした。実際、RCZの開発段階ではこのダブルバブルルーフが設計の中核に置かれ、ボディ全体のシルエットもそれを引き立てるように緻密に調整されています。

また、リアフェンダーにかけて滑らかに膨らむラインや、曲面を活かしたサイドビューも見逃せません。一般的なプジョー車の量産ラインとは一線を画し、RCZは専用の工場でハンドメイドに近い工程で製造されていたのです。そのおかげもあり、パネルの合わせ目や曲面の精度は非常に高く、RCZ特有の「工芸品のような美しさ」を実現していました。

ちなみに、デザインの元になったのは2007年のフランクフルトモーターショーで発表されたコンセプトカー「308 RCZ」。市販化にあたっては「ほぼこのままいこう!」と判断され、あえて量産向けの妥協を最小限にとどめたと言われています。この大胆な決断が、結果としてRCZを「量産車離れしたクーペ」たらしめたのです。

 

プジョーらしからぬ!? スポーツクーペとしての実力

プジョーRCZは、その美しいスタイリングだけが注目されがちですが、実は走りの中身も本格派でした。「見た目だけのクーペだろう」なんて思っていた人ほど、ハンドルを握った瞬間に驚かされることになります。

まず注目したいのは、専用設計されたシャシーとサスペンションセッティングです。ベースとなったのはプジョー308のプラットフォームですが、RCZはそこから各部を徹底的に強化。特にボディ剛性が高められ、さらに専用チューンのサスペンションにより、フラット感のあるコーナリングを実現していました。これにより、ワインディングではまるで地面に吸い付くような安定感を感じることができます。

搭載される1.6L直列4気筒ターボエンジンも、ただの小排気量ターボではありません。低回転からモリモリと湧き上がるトルク特性により、街乗りでもストレスのない加速を披露してくれます。そして高回転域ではキビキビと回り切り、スポーティな走りをしっかりと楽しませてくれる設定になっていました。このエンジン、実はBMWと共同開発されたもので、ミニ・クーパーSにも搭載されているユニットをプジョー流に味付けし直したもの。つまり世界的にも評価の高いエンジンだったのです。

さらに、6速マニュアルミッションモデルを選べば、シフトフィールもダイレクトで、クルマとの一体感をより深く味わえます。軽快なハンドリング、しなやかな乗り心地、実用性も捨てていないトランクスペース――RCZは、単なる「カッコいいだけのクーペ」ではなく、毎日乗って楽しいスポーツカーだったのです。

プジョーにこんなクルマがあったのか!」
そんな驚きを隠せない一台。それがRCZだったと言えるでしょう。

 

プジョーらしからぬ!? スポーツクーペとしての実力

プジョーRCZは、その美しいスタイリングだけが注目されがちですが、実は走りの中身も本格派でした。「見た目だけのクーペだろう」なんて思っていた人ほど、ハンドルを握った瞬間に驚かされることになります。

まず注目したいのは、専用設計されたシャシーとサスペンションセッティングです。ベースとなったのはプジョー308のプラットフォームですが、RCZはそこから各部を徹底的に強化。特にボディ剛性が高められ、さらに専用チューンのサスペンションにより、フラット感のあるコーナリングを実現していました。これにより、ワインディングではまるで地面に吸い付くような安定感を感じることができます。

搭載される1.6L直列4気筒ターボエンジンも、ただの小排気量ターボではありません。低回転からモリモリと湧き上がるトルク特性により、街乗りでもストレスのない加速を披露してくれます。そして高回転域ではキビキビと回り切り、スポーティな走りをしっかりと楽しませてくれる設定になっていました。このエンジン、実はBMWと共同開発されたもので、ミニ・クーパーSにも搭載されているユニットをプジョー流に味付けし直したもの。つまり世界的にも評価の高いエンジンだったのです。

さらに、6速マニュアルミッションモデルを選べば、シフトフィールもダイレクトで、クルマとの一体感をより深く味わえます。軽快なハンドリング、しなやかな乗り心地、実用性も捨てていないトランクスペース――RCZは、単なる「カッコいいだけのクーペ」ではなく、毎日乗って楽しいスポーツカーだったのです。

プジョーにこんなクルマがあったのか!」
そんな驚きを隠せない一台。それがRCZだったと言えるでしょう。

 

まとめ

プジョーRCZは、単なる一発屋的なデザインクーペではありませんでした。
たしかに登場当初は、美しいボディに対してスポーツ性能がやや控えめで、もどかしさを感じる場面もありました。ですが、それでもRCZは、その存在だけでプジョーというブランドに新たなイメージを与えた特別なクルマだったのです。

そして、そんな期待にきっちり応える形で登場したRCZ Rプジョー・スポールが手がけた本気のスポーツモデルは、見た目の美しさと中身の過激さを見事に両立させました。世界的にも希少な「本格派FFスポーツクーペ」として、今なお語り継がれる存在となっています。

RCZが与えたインパクトは、単なるスペックや販売台数では測れないものです。プジョーというブランドが**「スタイルも走りも妥協しない」**という強い意志を見せた証。それがRCZだったといえるでしょう。

今、街中でRCZを見かけたら、ぜひ少しだけ特別な目で見てあげてください。
それは、フランス車が放った、輝かしい挑戦の証なのです。