日産・ラシーン(Rasheen) 諸元データ
基本情報
- 販売期間:1994年~2000年
- 駆動方式:フルタイム4WD
- 乗車定員:5名
寸法・重量
- 全長:4,135mm
- 全幅:1,695mm
- 全高:1,650mm
- ホイールベース:2,435mm
- 車両重量:1,180~1,280kg
エンジンラインナップ
- 1.5L 直列4気筒 DOHC(GA15DE):105PS / 6,000rpm、13.8kg・m / 4,000rpm、燃費 約13.6km/L
- 1.8L 直列4気筒 DOHC(SR18DE):125PS / 6,000rpm、16.0kg・m / 4,800rpm、燃費 約12.4km/L
- 2.0L 直列4気筒 DOHC(SR20DE):140PS / 6,400rpm、18.2kg・m / 4,800rpm、燃費 約11.8km/L
トランスミッション
- 4速AT(全グレード)
- 5速MT(2.0Lモデルのみ)
サスペンション・ブレーキ
- フロントサスペンション:ストラット式
- リアサスペンション:トレーリングアーム式
- ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク / ドラム
タイヤサイズ
- 185/65R14 または 195/65R15(グレードによる)
価格(当時の新車価格)
- 約160万円~220万円(グレード・オプションにより変動)
特徴
- 角張ったシンプルでレトロなデザイン
- 丸目ヘッドライトとスリット状グリルの個性的なフロントフェイス
- 全車フルタイム4WDで、悪路走破性を確保
- 室内はシンプルで広く、リアシートを倒せばフルフラット可能
- コンパクトサイズで取り回しがしやすい(全長4,135mm、全幅1,695mm)
- ルーフキャリア装着やオフロードカスタムのベース車として人気
- 近年はネオクラシックカーとして中古市場で再評価されている
1994年に登場した日産・ラシーン(Rasheen)。一見すると無骨なデザインながら、どこか愛嬌のあるレトロなスタイリングが特徴的です。当時はまだ「クロスオーバーSUV」という言葉が定着しておらず、SUVといえばラダーフレーム構造の本格派が主流でした。しかし、ラシーンは都会での使い勝手を考慮しつつ、4WDの走破性を持ち合わせたユニークな存在として登場しました。
今やSUV市場は大きく拡大し、トヨタのライズやホンダのヴェゼル、日産ではキックスなど、コンパクトで街乗りにも適したSUVが人気を集めています。その流れを考えると、ラシーンはまさに時代を先取りした一台だったと言えるでしょう。
そんなラシーンですが、現在でも中古市場で一定の人気を誇り、レストアやカスタムのベースとしても注目されています。本記事では、①レトロで個性的なデザイン、②実用性と走破性、③現在の中古市場とカスタムの可能性という3つの視点から、この名車の魅力を深掘りしていきます。
1. レトロで個性的なデザイン
ラシーンの最大の特徴は、その独特なエクステリアデザインにあります。90年代の日本車は空力を意識した流線型デザインが増えていた時期でしたが、ラシーンはあえて角張ったフォルムを採用しました。これは、ジープ・チェロキー(XJ)やルノー・エクスプレスなど、ヨーロッパやアメリカのクラシックSUVを思わせるスタイルです。
フロントグリルは横に長いスリットが特徴的で、丸目のヘッドライトと組み合わさることで可愛らしさと無骨さを同時に表現しています。サイドのシンプルなラインや、やや垂直に切り立ったリアゲートも、当時のトレンドからは外れた独特の個性を放っています。
また、カラーバリエーションにも遊び心があり、ベージュやカーキ、ミントグリーンといったレトロなカラーが多くラインナップされていました。これが現在のヴィンテージカーとしての人気につながっている理由の一つです。
近年、トヨタのFJクルーザーやスズキのジムニー、さらにはフォード・ブロンコなど、クラシックなデザインを取り入れたSUVが復活しています。もしラシーンが現代に復刻されたら、どのようなデザインになるのか想像するだけでもワクワクしますね。
2. 実用性と走破性
ラシーンは見た目だけでなく、意外と実用性にも優れている点が魅力です。特に、4WDシステムを全車に搭載していたことが特徴的です。
ラシーンには、日産が誇るアテーサE-TS(電子制御トルクスプリット4WD)を採用したモデルも存在しました。これは、通常は前輪駆動で燃費を優先しつつ、滑りやすい路面では瞬時に後輪にも駆動を配分するシステムで、雪道や悪路での安定性を確保します。特にウィンタースポーツを楽しむユーザーにとっては、当時から高い評価を受けていました。
ラシーンのボディサイズは全長4,135mm × 全幅1,695mm × 全高1,650mmと、現代のコンパクトSUVと比べても取り回しやすいサイズ感です。後部座席はフルフラットになるため、アウトドア用途にも適しています。リアゲートも上下分割式ではなく、一枚で開閉する方式のため、大きな荷物の積み降ろしもしやすい設計でした。
また、エンジンラインナップは**1.5L(GA15DE)、1.8L(SR18DE)、2.0L(SR20DE)**と3種類あり、特にSR20DE搭載車は比較的スポーティな走りが楽しめる仕様でした。
3. 現在の中古市場とカスタムの可能性
ラシーンは2000年に生産終了しましたが、近年は「ネオクラシックカー」としての評価が高まりつつあります。
一時期は低価格で取引されていたラシーンですが、ここ数年で価格が上昇傾向にあります。特に状態の良い個体や、限定モデルは150万円以上の値がつくことも珍しくありません。10年前なら50万円以下で買えたモデルが、今では倍以上の価格になることもあります。
これは、海外でもラシーンの人気が高まりつつあることが影響しています。特に北米市場では、25年ルール(生産から25年以上経過した車は輸入・登録が可能)が適用されることで、ラシーンが合法的に持ち込めるようになり、価格が上がる要因になっています。
また、ラシーンはオフロードスタイルや、キャンピング仕様にカスタムされることも多いです。
- オーバーランド仕様(ルーフキャリア&オールテレーンタイヤ装着)
- カフェレーサースタイル(ツートンカラー塗装、レトロホイール装着)
- ヴィンテージレストア(純正パーツを生かしたフルレストア)
特にオーバーランド仕様は、ジムニーやハスラーと並ぶ人気のカスタムスタイルとして注目されています。純正のデザインがレトロなため、少し手を加えるだけで雰囲気がぐっと良くなります。
まとめ
ラシーンは1994年から2000年まで生産された、ユニークなコンパクトSUVでした。無骨ながら愛嬌のあるデザイン、4WDによる実用性、そして今見ても魅力的なレトロスタイルが特徴的でした。発売当時はその独特な個性が一部のファンに愛される程度でしたが、時代が進むにつれ、その価値が再評価されるようになりました。
今でも根強い人気を誇るラシーン。もし街で見かけたら、その独特な雰囲気を改めて味わってみてください。